遺言書保管制度の利用の仕方(遺言書の作成から保管申請まで)

  遺言書保管制度の利用の仕方(1)

自筆証書遺言書の作成から保管申請まで

 ① どのような制度か?

 ② 利用をおすすめしたい方

 ③ 遺言書保管制度を利用するメリツト

 ④ 遺言書を保管してもらうまでの流れ

 ⑤ 保管申請に必要な書類等

 ⑥ 手数料の一覧

 ⑦ 申出により保管していることを通知してもらう制度がある

 ⑧ 遺言書・遺言書保管ファイルの保管期間は?

 ✅自筆証書遺言の作り方


遺言書保管制度とはどのような制度か?

  この制度は、自筆証書による遺言書を法務局に保管してもらうというもので

 す。自筆証書のよる遺言書は、自書さえできれば一人で簡単に作成できますが、

 遺言者の死亡後に発見されなかったり、改ざんされるなどの恐れがあります。

  この自筆証書遺言のメリツトを損なうことなく問題点を解決するためにつく

 られたのが、この「自筆証書遺言書保管制度」です。

 

② 利用をおすすめしたい方

 〇遺言書の作成にあまり費用をかけたくない方

 〇将来、遺言内容を変更することが予想されるが、現時点ではとりあえず遺言

  しておきたい方

 

③ 遺言書保管制度を利用するメリツト

自筆でつくった遺言書を法務局(遺言書保管所)で保管してくれるため、紛失や隠匿の心配がない

遺言者の死後に、法務局から相続人等に対し、遺言書が保管されていることを通知してもらうことができるため、遺言書の存在や把握が容易になる

家庭裁判所での検認」の手続きが不要となる。

遺言者の最終意思が実現できる! 

相続手続きの円滑化が期待できる!

 遺言書を保管してもらうまでの流れ

遺言書(自筆証書)を作成する

  保管してもらっても法的に有効という保証はありませんので、無効とならないよう

  に注意して作成すること。封筒は不要。

保管を申請する法務局(遺言書保管所)を決定する(選択)

  遺言者の所在地又は遺言者の本籍地又は遺言者が所有する不動産の所在地のいずれ

  かを管轄する法務局

「遺言書の保管申請書」を作成する

  申請書の様式は法務省のホ―ムペ―ジからダウンロ―ドするか法務局の窓口で

遺言書の保管の予約をする(保管を申請する法務局に)

  保管申請を含めて法務局の手続きのすべてに予約が必要

遺言書の保管を申請する(予約した日時に遺言者本人が出頭)

遺言書保管証を受け取る

  保管証には、保管所の名称や保管番号が記載されていますが、「保管番号」は再度

  の遺言書保管申請や遺言書の閲覧申請等の際に使用しますので大事に保管しておき

  ましょう。また、親族などが「遺言書保管証」を発見することで、遺言書の存在が

  分かります。

⑤ 遺言書の保管申請に必要な書類等

 ①遺言書(自筆証書)

 ●法務局(保管所)では、遺言書の有効・無効の審査は行いませんので、無効となら

  ないように注意して遺言書を作成する必要があります。

 ●遺言書を書いた本人が法務局まで出向く必要があり、代理人による保管申請はでき

  ません。

 保管申請する自筆証書遺言の様式の注意点

 1.A4サイズで文字の判読を妨げる地紋や彩色のないものを

   使用すること。

 2.紙面の余白に注意。

  上下各5ミリメ―トル以上、左20ミリメ―トル以上、右5

  ミリメ―トル以上の余白を取ること。

  余白部分には、ペ―ジ数の記載や変更の記載を含めて何も記

  載しないこと。

 3.ボ―ルペン等の容易に消えないもので記載すること。

 4.片面のみに記載し、裏面には記載しないこと。

 5.数枚になっても綴じないこと。

 6.遺言書本文や財産目録の各ペ―ジに通し番号で、ペ―ジ数

   を自書すること。 

 7.財産目録は自書すること。

 8.封をしないこと。

 

 自書によらない財産目録

 1.通帳のコピ―を財産目録として添付するときは、銀行名、支店名、口座名義、

   口座番号等が分かるペ―ジをコピ―すること。

 2.不動産の場合

   所在、地番・家屋番号等により特定できれば、登記事項証明書の一部分やコピ―

   を財産目録として添付することができます。

 自筆証書による遺言書の作り方⇒

 

    ②遺言書の保管申請書(必要事項を記入しておく)

 ●遺言者の死亡時に、相続人等に「遺言者が死亡した旨」「遺言書が保管されている

  こと」を通知してもらうことができる。

  (申請書の「死亡時の通知対象者欄」に記載する必要がある)

 

 ③添付書類  

 ●本籍の記載のある住民票の写し又は戸籍謄本及び戸籍の附票で3ケ月以内のもの

 ●遺言者が外国語で記載の場合は日本語の翻訳文

  ※原本還付の請求も可能(保管申請時以外でも)

  原本の還付を受けたい時は、その謄本(コピ―)を用意し、謄本に原本と相違ない

  旨を記載して提出します。同時に原本も提出する必要があります。)

 

 ④本人確認書類(下記のうちいずれか1点)

 ●マイナンバ―カ―ド

 ●運転免許証

 ●運転経歴証明書

 ●旅券

 ●乗員手帳

 ●在留カ―ド

 ●特別永住者証明書

 

 ⑤手数料(1通につき3,900円)

   3,900円分の収入印紙を「手数料納付用紙」に貼る

 

 ⑥ 手数料の一覧

 ・遺言書の保管申請(遺言者)

  1通につき 3,900円

 ・遺言書の閲覧(モニタ―)の請求(遺言者・関係相続人等)

  1回につき 1,400円

 ・遺言書の閲覧(原本)の請求(遺言者・関係相続人等)

  1回につき 1,700円

 ・遺言書情報証明書の交付請求(関係相続人等)

  1通につき 1,400円

 ・遺言書保管事実証明書の交付請求(関係相続人等)

  1通につき 800円

  ※手数料は、収入印紙を手数料納付用紙に貼って納めます。

 

⑦ 遺言書を保管していることを通知してもらう制度がある

 <通知の申出制度の趣旨> 

  遺言者の死亡後に、法務局に遺言書が保管されていることを誰も知らないのであれば、

  そもそも法務局に遺言書を保管してもらう意味がありません。このようなことが無い

  ように、遺言者の死後に、指定する者に対して法務局から遺言書が保管されているこ

  とを通知してもらうことができます。

 

 <申出により通知が届く人>

  遺言者が指定する人で、次のうちの一人に限られます。

   ①遺言者の相続人

   ②当該申請に係る遺言書に記載された受遺者

   ③当該申請に係る遺言書に記載された遺言執行者

 

 <どのような時に通知されるか?>

   ①遺言書情報証明書を交付したとき

   ②相続人等に遺言書の閲覧をさせたとき

   ③相続人等に遺言書について、遺言書保管ファイルに記録させた事項を表示した

    ものを閲覧させたとき

 

⑧ 「遺言書」「遺言書保管ファイル」の保管期間について

  保管された遺言書は「遺言者の死亡の日から50年経過したら廃棄することができる」

  とされています。また、遺言者の生死が不明の場合は、遺言者の出生の日から起算して

  120年を経過したのち、50年が経てば廃棄することが可能です。

  「廃棄できる」となっていすので、それ以上の期間にわたって遺言書が保管されること

  もあり得るということです。

  「遺言書保管ファイル」については、「遺言者の死亡の日から150年経過したら、

  その情報を消去できる」とされています。

  遺言者の生死が不明の場合は、遺言者の出生の日から起算して120年を経過し、さ

  らに150年経てば消去することが可能です。 

 

 遺言書保管制度の利用の仕方(2)

 (保管後に遺言者や相続人等が利用できること)


パソコン|モバイル
ページトップに戻る